ワイン研修、ワイン・セミナー、ワイン・コンサルティング

テイストアンドファン株式会社-ワインの研修、ワイン・セミナー、ワインコンサルティング

テイストアンドファン-代表者インタビュー

最初は一人のソムリエとしてワイン業界のキャリアをスタートさせた沼田実氏。今やTaste & Fun代表を務め、ワイン業界の抱える問題点と解決策を論理的に導き出してみせる。果たしてその手腕とエネルギーはどこから湧いて出たものか、沼田氏とのインタビューから読み解いていこう。

ソムリエ、インポーター、そしてワイン講師へ

 
  第6回全国ソムリエ・コンクールでは、関東地区代表として本選に出場。

Q ホテルでソムリエをしていたとか?

A 学生時代はちょうどビストロがブーム。バイトで貯めたお金を握り、フランス料理を食べに行き……そこでワインと出会ったんですね。当時はまだシャブリしか知らなかったけど、おいしく感じて。そのまま、ワインをサービスする仕事に就きました。
Q 飲むだけでは終わらなかった、と。
A そうですね(笑)。勤務先のホテルでは、人に恵まれました。おかげで、新人にもかかわらずソムリエ・コンクールに出場し、本選まで残ることもできました。
Q そこまで活躍しながら、なぜ転職を?
A ワイン業界を「川」に見立てれば、ワインを造る生産者が上流にいるとして、中間業者→ソムリエ→消費者、とワインが流れていく。業界全体を把握したかったんです。だから次は、ソムリエと違ったアプローチでワインに関わろうと決めました。

 
  ジャパン・ワイン・チャレンジで最優秀審査員賞を受賞した沼田氏の記事。写真は、授賞式にご臨席くださった高円宮妃殿下と。
●過去のメディア登場リスト(一部)はこちら>>

Q 転職先は、オーストラリアワインを専門に扱う商社。理由は?
A ソムリエ時代にヒュー・ジョンソン著『地図で見る世界のワイン 第3版』を読み、マーガレット・リバーのページで目が留まりました。「オーストラリアの新しい高級産地」とあったけれど、日本ではまだ専門誌でも取り上げられていなかった。そんなエリアのワインを、自分の手で、日本でメジャーにしてみたかった。
Q 今では、幾多のマスコミに取り上げられ、すっかりメジャーになった産地です。
A 少しは貢献できたかなぁ、と思っています。その間に、業界向け講師としての活動も始まりました。ちょうどCWEの資格を得たこともプラスとなり、大使館をはじめ多くのセミナー会場で話をする機会を与えてもらいました。
Q 日本で初めてスクリューキャップについてのセミナーを開催したと聞きましたが?
A 基本的には、オーストラリアワインをテーマに据えたセミナー依頼が多かったですけどね。でも私自身、エリアに限定されることはありません。親戚は勝沼でワインを造ってますし(笑)。

 

欧米流の「学ぶ」「伝える」姿勢に活路あり

Q ニュージーランドの大学で醸造を学んだきっかけは?
A ソムリエをやっていた時分から、ブドウ栽培や醸造に興味はありました。ワイン業界という川の流れの喩えを最初にお話ししましたが、その最上流にあるワイン造りも知っておきたかった。ニュージーランドのリンカーン大学で正式に醸造を学び、またオレゴンで実体験も積んだことで、業界全体を俯瞰する力がさらに強まったのではないでしょうか。
Q となると、栽培や醸造に携わった経験は、今の仕事に大きな影響を与えていますか?
A もちろん。ワインスクール講師として生徒さんにワインを解説するときにも、その重要性を感じています。自分で知識を膨らませられない生徒さんたちを前にして、私たち講師は沢山の引き出しを持っておくべきですから。
Q 実体験をベースにすると、言葉の重みが違いますよね。
A でも、教育の場で物事を伝えるためには、経験だけではまだ足りないんです。海外へ行く機会を重ねていくうち、ワイン教育について、欧米と日本の格差を改めて強く知らされました。
Q 格差とは?日本には何か欠けている点があるのでしょうか?
A 欠けているというより、遅れているといったほうが適切かな。たとえばワインをテイスティングしたとき、その味になるのはなぜだろう、と考えるプロセスが大事。なのに日本では、知識を吸収することだけに力を入れ過ぎるきらいがあります。
Q それはワインスクールの生徒を対象とした場合の話?
A いえいえ、実はワイン業界内のほうが問題は根深いんです。せっかく資格を持っていても活用しない人々が、ワイン業界には少なくない。実践で活用するため、もっと双方向的な要素が必要なのに。
Q Taste & Funのセミナーでは、講師と受講者の間で活発なやりとりがなされるという特徴がありますが・・・・・・
A それこそ双方向的と言える、欧米では当たり前のスタイルです。セミナー慣れしていない人なら最初は戸惑うでしょうが、皆さんのワインに対する積極的な姿勢を新たに引き出すのが我々講師の役割です。自律型への変身で、得るものは大きいんですよ。
Q 正直なところ、業界関係者一人ひとりの変化は、企業側のメリットに繋がると言えますか?
A ええ、必ず良い結果を導きだせると信じています。ワインと食の文化を理解し、そこにオリジナリティを加えて新たな価値を創造する自律型の人物は、企業にとっても業界全体にとっても絶大な効果を生み出します。それが、多角的にワイン業界と長年関わってきた私の最終見解なんです。

 

 

インタビューを終えて

「Taste & Funのような事業の立ち上げは、いつ頃から考えていましたか?」
と訊ねてみたところ、
「ソムリエをやっていた20代の頃、かな」
と沼田氏。彼のセミナーを見学していると、つい瞬発的なひらめきの豊富さに目を奪われがちだが、背後には長いスパンで計画を進めてきた緻密な努力も見え隠れする。

それにしても、沼田氏の選んだ道は随分と地味なものだ。ワイン業界の軸、いわば体幹を強固にするため、筋肉にあたる業界関係者をトレーニングで鍛え上げる役割を担う。表から見えない体幹へ効果的に刺激を与えるのは、完全に裏方の作業。それでも、体幹を意識し始めた人々にとっては、必要不可欠なトレーナーではある。

国際的な知識と経験、そこに実行力が合わさった沼田氏をセミナー講師に迎えてのトレーニング。感性の鋭い業界人を皮切りに、注目度はますますアップしていくだろう。  (Text by M Yamamoto)

 

 

テイストアンドファン代表者のプロフィール

テイスト アンド ファン 株式会社-代表取締役 沼田実

沼田 実

テイスト アンド ファン 株式会社
代表取締役  主任ワイン講師

日本ブドウ・ワイン学会会員
米国ブドウ・ワイン学会会員

1962年川崎市生まれ
日本大学文理学部哲学科卒
リンカーン大学ブドウ栽培・ワイン醸造学科卒

 

 
  「ブラッシュ・ワイン・カクテル・コンペティション」入賞作品

ホテル・パシフィック・メリディアン東京でソムリエとして勤務していた1988年に、カリフォルニア・ワイン・インスティチュート主催「ブラッシュ・ワイン・カクテル・コンペティション」において3位入賞。

翌年は、フランス食品振興会主催、第6回全国ソムリエ・コンクールで、関東地区代表の一人として本選に出場する。その後、ワイン輸入会社ファームストン(株)に転職し、輸入、マーケティング、営業並びに人材採用の業務に、責任者として携わる。 その間、オーストラリア大使館、ワイン・オーストラリア等の公的機関をはじめ、JALアカデミー、美術出版アカデミー等のワイン・スクールで、セミナー講師を延べ150回以上務める。受け持った数々のセミナーは、ワインに興味を持ち始めたビギナーから、トップ・エンドのソムリエまで、幅広い層が受講した。


2008年、ワイン造りを深く学ぶために出国し、2009年12月に帰国した。その間、オレゴンの名門ワイナリーであるチェハイレムと、ニュージーランド随一の生産者、マウントフォードにてワイン醸造の研修を受ける。


又、冷涼気候下でのブドウ栽培・ワイン醸造の研究では世界的に評判の高い、ニュージーランド国立リンカーン大学にてブドウ栽培・ワイン造りを修得、正式なコースを卒業する。


2010年の1月、ワイン教育サービス会社・テイスト アンド ファン株式会社を設立し、代表取締役として就任した。